「悪いけど、そんなくだらない冗談を聞く気はない」
「やだ、どうして冗談なんて……」
「どうして? それは俺が聞きたい。八年前、美咲になにを吹き込んだのか忘れたのか?」
大翔が佐奈の手を振り払った瞬間、和やかだった同窓会の会場が一転、ピリッとした空気に変わる。
周囲がしんと静まって、大翔と佐奈の成り行きを見守っている中、唯一篤志だけが嘲笑するように口の端を上げて佐奈を見たあと、我関せずとばかりに料理を口に運んでいた。
「は、八年前って……一体なんの話?」
狼狽えた佐奈がしらを切るが、大翔は鋭い眼差しを向けたまま言い放つ。
「俺は北見と夜中に電話でやり取りした覚えはないし、プライベートで会う約束をしたこともない。俺にとって大切な女性は、八年前も今も美咲だけだ」
「今もって……まさか、まだあの子と……?」
大勢の同級生のいる前できっぱりと拒絶され、佐奈の顔はみるみる赤く染まっていく。



