「入って」
案内されたのは一番奥の角部屋だった。玄関ドアを開けて促されるが、いくら兄の旧友とはいえ、この時間に男性の部屋に上がっていいものだろうか。
そんな美咲の思いを見透かしたように、大翔は軽く両手を上げて見せた。
「誓って変な真似はしない。ずぶ濡れになった美咲が篤志を頼って来たと知っていたのにこのまま帰したら、あいつになにを言われるか」
「それは……」
眉間に皺を寄せて大翔を睨みつける兄の顔が思い浮かぶ。
「ようやく関係を修復したんだ、また友人を失うようなことはしたくない」
やはり自分のせいで、一時期は篤志との関係が悪くなったのだろう。そう言われては拒み続けるのも申し訳ない気がする。美咲は彼の厚意に甘えることにした。
「タオルを持ってくるから、リビングに行ってて」
「……はい。お邪魔します」



