すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~


「なんでもないですよ。それより、上海って行ったことがないんですけど、どんなところなんですか?」
「そうだな、海外の中では比較的治安もいいし観光スポットもたくさんあるよ。定番は外灘(ワイタン)かな。買い物もできるしレストランも多いし、建物も歴史があって見ごたえがあるらしい。夜景も綺麗だしね」
「らしいって、大翔さんは行ったことないんですか?」
「うん、ステイ先のホテルから行くには少し遠いから。あ、でも部屋から上海タワーは見えたよ」

他にも、大翔が行ったことのある観光地の話やコックピットから見える極上の景色の話を聞いた。食事を終えてふたりで片付ける間も、会話は途絶えずに続く。

「夜のフライトのコックピットが暗いなんて、初めて知りました。その分、夜景が綺麗に見えそうですね」
「夜景と同じくらい、大量のスイッチや計器も光っててキラキラしてるよ」
「写真で見たことありますけど、あの量のボタンを全部把握してるって本当にすごいです」

片付けを終えると、大翔が買ってきてくれた上海土産の中国茶を淹れ、ふたりで並んでソファに座る。

「そういえば、美咲は海外旅行をしたことあるの?」
「大学の卒業記念に、友達と四人で台湾に行きました。今日返してもらったパスポートを見て、またいつか海外旅行したいなって思ってたところで――」

美咲がそう口にした瞬間、大翔の眉間にぐっと深い皺が寄る。