美咲はグッと両腕を上げて背筋を伸ばすと、通勤途中で買ってきたサンドイッチとデスクに置いていたマグカップを持って立ち上がった。カランドの本社には大きな給湯室があり、自社のコーヒーが無料で楽しめるためよく利用している。
店舗統括部のあるフロアからひとつ下の階へ下りて給湯室に入ると、すでに先客がいた。美咲の足音に気付いたのか、ポットでお湯を注いでいた男性社員が振り返る。
「美咲……」
こちらを見て少しバツが悪そうな顔をしているのは、以前交際していた悠輔だった。
「お疲れ様」
「……お疲れ。休憩?」
「うん、飲み物だけ欲しくて」
サンドイッチの入った袋を掲げてみせると、悠輔が棚に手を伸ばした。
「オリジナルのカフェオレでいい?」
「うん。ありがとう」



