すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~


「そういえば、今日の上海便で各務さんと一緒になる子がステイ先のホテルで誘ってみるって、さっき更衣室で話してた」
「えぇ? そんな見え見えの誘いに各務さんが乗るかな? 孤高のパイロットよ? 何人か知ってるけど、食事すらふたりきりなのは撃沈してるって聞いたわよ。『心に決めた相手がいるから不安にさせたくない』って」
「断り文句もカッコいいよね。でもその子、各務さんが転職する前も何度か一緒になったから顔見知りみたい。決まった相手がいるのなら一晩だけでもいいって迫る気なんだって」
「うわぁ、肉食ねぇ。断られて仕事やりにくくならないといいけど」

一応彼女たちは声を潜めて話してはいるものの、店内をラウンドしているスタッフには会話が筒抜けだ。

店内で大翔の噂話が聞こえてくるたびに、辻村をはじめとするスタッフがニヤニヤしながらこちらを見てくるのが居た堪れない。

「『心に決めた相手』だそうですよ、佐伯マネ」
「そんなセリフ、一度は言われてみたいです! それにしても佐伯マネージャーの彼氏さん、孤高のパイロットなんてめちゃくちゃカッコいいですね。大丈夫です、肉食CAの誘いなんて絶対断ってくれますよ」

辻村だけでなく、葛西までにこにこと美咲をからかってくる。

正直に言えば、そうした噂話が気にならないわけではない。むしろとても気になっていて、耳をそばだててしまいそうな自分を戒めなくてはならなかった。