すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~


その時。突然、声を掛けられた。

「美咲?」

低音で温かみのある声に名前を呼ばれ、懐かしさよりも驚きに飛び上がった。
聞けば誰もがうっとりとしてしまうほどの甘く響く美声は、忘れたくても忘れられない。

思わず顔を上げると、そこにいたのは思っていた通りの人だった。

「大翔さん……」

――各務(かがみ)大翔(ひろと)
兄の同級生であり、学生時代に美咲が付き合っていた相手。そして自分から一方的に別れを告げたにもかかわらず、ずっと忘れられない人。

美咲よりも頭ひとつ分以上高い身長も、漆黒の黒髪も、聞けば耳が蕩けてしまいそうな美声も、美咲が憧れていた彼のままだ。

しかし、纏う雰囲気が違う。
当時から手の届かない大人の男性のように感じていたが、三十一歳の今では自信と貫禄に満ちており、記憶の中よりもずっと精悍で魅力的になっている。

顔を合わせるのは別れて以来、実に八年ぶり。
心臓がありえないほどバクバクと音を立て、身体中の血がぶわっと湧き立つような感覚にとらわれた。
声を聞き、その眼差しに見つめられるだけで、一気に過去に引き戻されるような心地になる。