美咲が結婚前提の同棲を始めたと知った時は言いようのない嫉妬を覚えたが、彼女が幸せに暮らしているのならどうこう言う権利はない。
そう自分に言い聞かせていた矢先、あの雨の中で彼女を見つけたのだ。恋人に裏切られて傷ついている美咲の涙を目の当たりにして、黙って手をこまねいていられるわけがない。
しかし――。
(今になって、ようやく当時の美咲の気持ちがわかるな)
いくら気持ちが残っていないとはいえ、過去に交際していた相手が目の前にいれば嫉妬心が芽生える。
それは先日、美咲の元交際相手の男と対面し、嫌というほど思い知った。
彼女と結婚を前提に付き合っておきながら同棲している家に女性を招き入れ、強引に誘われて断りきれず流されたらしい。
同じ男としてあり得ないし、そんな男が一年もの間美咲に愛されていたのか思うと腸が煮えくり返る。
どす黒い嫉妬心が胸に渦巻き、彼女のすべてを奪い去ってしまいたい焦燥に駆られた。



