美咲がやんわり断ると、箸を止めた大翔が探るように目を細めた。
「……なにか予定が?」
そう尋ねる声がワントーン低い。
多くない休みを美咲のために使おうとしてくれているのに断ってしまったため、不機嫌にさせてしまっただろうか。
「不動産屋さんに行ってみようと思ってるんです。ネットで探しても見つからないので、実際に店舗で相談しながら探そうかなって。この時期なら予約も取りやすいみたいなので」
申し訳なくて小声になった美咲が説明すると、彼が深いため息をついた。
「なんだ、てっきり……あいつの家に行くのかと」
「え?」
「いや、なんでもない。不動産屋に行くのなら一緒に行こう」
「いえ、そんなのに付き合わせるわけには」
「美咲は自分で物件を選ぶのは初めてだろ? チェックするポイントを見落としていたら大変だ。それに不動産屋は今閑散期だろうし、是が非でも契約を取りたくてグイグイ押してくるかもしれない。そうなった時、ちゃんと断れるか?」
「う……」



