カランドの掲げる『楽しく和やかな空間を提供する』という経営理念を、美咲は素敵だと思う。
肩肘張らず、誰もが気軽に立ち寄ってコーヒーや食事を楽しむ、居心地のいい店。友人や家族とのあたたかい団らんの場を提供できるこの仕事が好きだった。
「おいしい料理はもちろん、楽しく食事をする場所を提供するっていう考え方です。子供の頃、家族で外食するってすごく特別感があったんですよね。別に高級なお店じゃなくても、いつもと少し違った場所で食べるだけでも嬉しくて、そういう場所を提供する仕事って素敵だなって思って」
働く大翔を見ていたいがためにカランドでバイトを始めただけだったが、その理念に触れ、いつしかカランドというカフェが好きになった。就職活動を始めるにあたり、真っ先に浮かんだのがカランドだったのだ。
「記念日だけじゃなくて、普段の食事も楽しい思い出に残るお店に携われたらいいな……なんて」
「家族思いの美咲らしい理由だな」
「そうですか? 大翔さんたちパイロットに比べちゃうと平凡で恥ずかしいんですけど」
つい大翔につられて仕事についての理想を語ってしまい、照れくささに肩を竦めた。



