大翔と別れて以降、誰とも恋愛をしてこなかった。意識的に避けていたのもあるけれど、心が惹きつけられてやまないという相手は、過去を振り返っても大翔しかいない。
今もまた熱心に口説かれ、自分でも不思議なほどに大翔に惹かれている。ずっと眠っていた恋心が、音を立てて動き出しているのがわかるほどに。
ゴオーッと大きな音がして窓の外を見ると、近くの滑走路から飛行機が飛び立っていくところだった。
父がパイロットだったため、幼い頃は空港に何度も遊びに来たことがある。
今までは特別になにか思い入れがあるわけではなかったけれど、大翔や兄はあの大きな鉄の塊を飛ばしているのだと考えると、パイロットという職業の凄さを改めて感じた。
大翔は今は乗務していないけれど、あと二週間もすれば訓練が終わるらしい。国際線を多く飛んでいる機種らしく、兄のように月の半分は家を空けるようになるだろう。それを寂しいと感じる自分に驚く。
(まだ悠輔と別れて二週間しか経ってないのに、こんな気持ちになるなんて……)
注文したホイップたっぷりのパンケーキが運ばれてきたため、視線を窓の外からテーブルに移す。



