七宝 ‐なほ‐

「俺さ、そろそろ帰ろうと思うんだ…」

冬羽の言葉に、弾かれたように七宝は冬羽を見る。

「え、やだよ、たかちゃん」

七宝の目には涙が溢れている。

「奏多さんと咲姫がそろそろ限界っぽい。
奏多さんは七宝は歌えるまで沖縄にいてもいいって言ってたけど、俺は七宝を連れてく」

「え、でもわたしまだ歌えないよ」

焦る七宝に、

「七宝には俺がいるでしょ?
だから大丈夫」

冬羽は七宝の手を握る。

「きゃー、羨ましい」

思わず愛智が叫ぶ。

「あーちーにはみーうーがいるさぁ」

いたずらっぽく歩夢(あゆむ)が言う。

「歩夢は?」

珍しく目がうるむ愛智に、歩夢は思わず愛智を抱きしめる。