七宝 ‐なほ‐

一方、

「かーくん、毎日、メール確認しなくてもいいから!」

きつい口調で、奏多(かなた)に言うのは咲姫(さき)。

冬羽(とわ)が七宝(なほ)を追いかけて、沖縄に行って、2人になったあたりから、奏多と咲姫の関係はギクシャクなり始めた。

「あのさ、いちいち俺に当たるの、マジ迷惑だから止めてくんない!?」

負けじと奏多もキツイ言い方をする。

「冬羽が行ってから曲作りも出来ないし、咲姫とは喧嘩ばっかりだし」

はー、と奏多は長いため息をつく。
その後、

『冬羽だけでも帰ってこれないかな?
正直、咲姫と一緒はしんどい。
七宝は歌えるようになってからでもいいから』

咲姫に気づかれないよう、冬羽にメールを送った‐。