七宝 ‐なほ‐

-「やっぱあっちぃな、沖縄は」

琉音の言葉通り、奏多は沖縄に帰って来た。
だけれどそれは、観光でも、里帰りでもなく、琉音の言う『助けてほしい人』を助ける為。

「ただいま」

実家に帰ると、

「にーにー!」

琉音が抱きついてきた。

「お!
歩夢、カーズー、ふーゆーも元気だったか?」

琉音に抱きつかれながらも、弟のバンドメンバーにも挨拶をする。

「ども、お久しぶりです」

奏多の登場に、皆、緊張している。

「緊張しなくてもいいさぁ」

奏多は笑う。

「あーちーはいないの?」

「あーちーは遅れて来るよ、なーほーと一緒さぁ」

「なーほー?」

「にーにー、俺らの歌姫さぁ」

「ああ、おまえが助けてほしい人?」

「そうさぁ」

琉音が頷くと、

「はいたい」

愛智が七宝と一緒にやってきた。