七宝 ‐なほ‐

春休みのある日、七宝(なほ)は公園で陽花(はるか)を待っていた。

「お待たせ~!」

陽花がやって来た。
久しぶりに見る陽花は、痩せて綺麗になっていた。

「あい、ジュース」

「ありがとう」

「なーほーの好きな人って海渡?」

「そうさぁ」

「やっぱりね。
あたしたちが付き合ってから、学校に来なくなったもんね」

陽花にはバレていた。
恥ずかしさからの事はもう諦めてくれないかな」

陽花は言った。
陽花を見ると、陽花は真剣な表情で、こちらを見ている。

「少しでも不安を消したいの…」

陽花と海渡は、付き合って8ヶ月程経つのに、まだ手すら繋いだ事がない。
陽花はそれを、海渡は未だに七宝が好きだからじゃないかと思っている。

「…わかった」

七宝は頷く。

「ほんと?
ありがとう~!」

陽花は笑顔を見せる。

2年生のクラス替えでは、誰と同じクラスになるかわからない。
それまでに、海渡への想いも消しておかないと、後々困るのは自分だ。

七宝は海渡から卒業する事を決めた-。