七宝 ‐なほ‐

功太は高校卒業後、就職する。
両親も働いているので、蓮奈を預ける事は出来ない。
いくつか託児所に電話を掛けたが、空きがないと断られてしまう。

だからと言って、仕事に行かないわけにもいかず、途方に暮れていると、

「あい、可愛い子ね」

声を掛けてきたのが、夏波だった。

夏波は、

「わたしにも子どもがいたんです」

初対面にも関わらず、自分にも子どもがいた事を話した。

功太が、託児所がいっぱいで預けられないと話をすると、

「もし良ければ、功太さんがお仕事の間、わたしがご自宅で蓮奈ちゃんを見ましょうか?」

提案した。

初対面の人間に、子どもを預ける事はとても怖かったが、夏波を信じて任せる事にした。

功太の両親も、初めは夏波を警戒していたが、夏波の人となりに触れ、警戒を解き、夏波と仲良くなっていった。

そうして、自然な形で、功太は夏波と付き合い、やがて結婚をした。
それで生まれたのが七宝。

「…じゃあ、別れなくてもいいんだね?」

世羅の問いかけに、蓮奈は嬉しそうに頷いた-。