「はぁ〜。君は一体、何周したらわかるんだい?」
 「仕方ないでしょ。そういうのはわかんないんだから。」
 いつもと同じやりとり。「何回やったら終わるんだろう。」と考えてみたけど、答えは見つからなさそうだった。昔から考えることは苦手だ。
 ここは未知の世界。いや、あちら側の人間という生き物には、「天国」と言った方がわかりやすいのかもしれない。
 人間という生き物には、「死んだら天国に行く。」という考えが広まっているようだった。
 まったく、その通りだった。
 私が死んだら、急に白いカプセルが現れ、私はそれに乗り、眠っている間に天国のについたのだった。
 人間という生き物は、天国がどういうところなのか知りたいらしい。
 天国は、主に2種類に分かれている。
 私がいる方の天国は、ただの白い空間が無限に広がっていて、そこに自称神様がポツンといるだけ。
 もう一方の天国は、花畑が無限に広がっていて、そこで死んだものの魂たちが遊んでいる。そこには優しい神様もいて、神様はみんなと楽しく会話をしたりしているらしい。なのでここは、「楽園」と言ったほうがいいのかもしれない。
 つまり、私がいる方の天国よりも、もう一方の天国が、とても楽しく、幸せで、幸福を味わえるらしい。
 
 
 「さあ〜て、今度は何に生まれ変わってもらおうかな〜。」
 また同じことを言っている。
 毎回毎回、同じやりとりばっかりなんだよなあ、この神様。
 ちなみに、魂が何に生まれ変わるかは神様が決めることになっている。
 その魂の人生を左右する選択だから、意外と責任重大らしい。そんな役を、こんな自称神様がやっても大丈夫なのだろうか。まあ、私には関係ないけど。
 責任重大な選択なはずなんだけど、私は常連組だからか、どんどん緊張感がなくなっていっている気がする。気のせいかもしれないけど。
 「何周もしている魂は君がずっと担当しているけど、一向に合格ラインに達しないのはなぜだ!と、先日上司に怒られたばかりでね。そろそろ私も、本気を出さないとダメなんだよ。」
 「ああ、そうですか。お気の毒に。」
 「絶対思ってないくせに!!」
 まあ事実だから何も言えないんだけど。
 「そう言うことなので、うーん、どうしよっかなー?」
 「別になんでもいいんじゃない?」
 「いや、人の話聞いてた?」
 「ごめん、聞いてなかった。」
 「全くもーあんたってやつは!!」
 そう言ってから、自称神様は、「あ!!」と言った。
 「君に足りないのは感情。感情が一番芽生えやすい生き物……そう、人間!!あ〜、なんでもっと早くに気づかなかったんだろう。」
 「そういうのはいいから。とりあえず、次の転生先は人間ね。よくわかんないけど、とりあえずできるだけのことはやるよ。」
 「あんたのできるだけはレベルが低いからダメ!!もっと気合い入れて!!はい、じゃあいってらっしゃーい。」
 「え、あ、ちょ、まだ説明聞いてな__」
言い終わる前に、白いカプセルの扉が閉まった。
 

 こうして、私の長旅は始まったのであった。