九条先輩の甘い溺愛

「それでちゃんと仲直りできたんですか?2人とも」


「うん、ごめんね」


「乙葉は全然気にしなくていいよ。問題はあの男なんだから」


「悪かったよ、心配かけた」


「別にあんたの心配なんてしてないよ。ただ、乙葉が泣いてたから」



泣かせてごめんなと言いながら私の頭を優しく撫でた。



「無事仲直りして付き合えたのなら俺も嬉しいよ。失恋した立場だけど。あ、あと花音とはどうだった?」


「多分仲直りできたと思う。最近は花音が私の噂は嘘だって言ってくれてるみたいだし」


「花音も変わったみたいだな」



人それぞれ間違いはあるし、きっとそれはこれからもあると思う。でもきっとそれはお互いを知っていかなかっただけ。


お父様とお母様がいた頃みたいに話せるようになるにはきっとまだ先が長いけれど、頑張っていける。


私には大好きな人がいるから。傍にいたい人がいるから。
そっと先輩の手を握って、笑いかける。


私にはこの手を握り返してくれる人がいる。それだけでずっとずっと頑張れる。