九条先輩の甘い溺愛

「わたしっ……!先輩が、私に内緒にして花音に会っているとこを見たの。最初は見間違いかと思った。でも最後にキス……してた。悲しかった。信じてたの。今も信じたい、けど……。ここに先輩がいないから、だからもうわからなくてっ……!どうしたらいいの……」



なにも考えたくない。花音がすべて分かるって言ってたのはこういう事だったの?

先輩は今どこにいるの……?
聞いてしまったらもう戻れないような気がして、渡瀬君にはどうしても聞けなかった。



「乙葉のお姉さんと話をしてみたら?先輩本人に聞くのはまだ勇気が出ないでしょ?」



花音と話を……。
このまま何もしないままじゃ、変わらない。



「わかった。話してみる…。ありがとう渡瀬君」


「うん。何かあったらいつでも呼んで」



その言葉に胸がズキッと痛む。
先輩は今私が連絡したら駆けつけてくれるんだろうか。


いや、今は花音と話してみないと何もわからない。



――もう1回、話をしよう。花音。