九条先輩の甘い溺愛

花音が立ち去ってから数分後、先輩から電話がかかってきた。


「ごめん、クラスの催しでシフト急に入って遅れた」


「大丈夫ですよ、今どこにいますか?」



怖くて聞けない。本当にクラスに行ってたんですかなんて。
私の不安の表れかのように、先輩の誕生日のカードは見つからなかった。



「ジンクスってなかなか聞かないと思ったら、そもそも条件を達成するまでが大変だったな」


「そうですね……。残念です」


「まぁ、明日もあるから。何とかなるかもしれない」


「ですね。先輩この後って」


「あー、ごめん少しクラスに行かなくちゃいけなくて」



時計は3時30分を指していた。もうすぐ花音の言っていた4時。
まさか、ね。



「そうなんですね。じゃあ渡瀬君と一緒に待ってます」


「うん、ありがとう」



確かめるだけ。そう、確かめるだけだから。