九条先輩の甘い溺愛

宣言通り先輩はお弁当をもって裏庭にきた。
誰も使わないせいでベンチはもちろん1つしかないので、私の隣に腰掛ける。



「ご友人と食べないでいいんですか?」


「花宮と食べる方が有意義な気がしてな」


そう言って、青いギンガムチェックのお弁当袋を開ける。なんか意外というか、購買で買ってそうなイメージを勝手に持ってたかも。
なんて考えながら昼食用に持ってきたゼリー飲料のキャップをあける。流石にこれだけじゃ物足りなさはあるけど、本を読んだりして気を紛らわせれば問題なし。



「まさか、それが昼食?」


「え、はい。そうですけど」



ゼリー飲料を口に運ぶ私を見て、困惑した表情を見せると箸で掴んだ卵焼きを私の口元に持ってきた。
急に何を考えているのと逆にこちらも困惑して黙っていると、先輩がため息をついた。



「ほら、食べな?それだけじゃお腹すくだろ?」


「我慢すれば大丈夫です」


「はい、口開けて。あーん」


「え?あの、え、ちょっと大丈夫なので」



私が戸惑いながら断ると、無理やり食べさせようか?と軽く脅され渋々卵焼きを口に頬張る。
甘めな味付けで思わず声がこぼれた。