九条先輩の甘い溺愛

文化祭のジンクスをやってみたい。なんてハッキリと先輩に言うと、付き合いたいってすごくアピールしてるみたいで恥ずかしい。
だからこっそりやっているんだけど、どうにも難しい。


全然先輩の誕生日の数字がない。
この騒ぎだから、あまり目立たないだろうと思っていたけど、他校の生徒も来ているせいで何かと視線を感じる。


「これも透先輩がかっこよすぎるせいですね」


「なにそれ、拗ねてるの可愛いけど褒めてるの?」


「拗ねてないです。あと褒めてはいます」



褒めてるんだとクスクス笑いながら、宥めるように私の頭を撫でる。
子供扱いされすぎじゃ……。



「乙葉も周りに見られてること自覚してね」


「悪い噂の方ですよきっと」


「何言ってんの、可愛いからに決まってるじゃん。いつも髪下ろしてるのにポニーテルにしてる時点でもっと可愛い」


「先輩は私の外見が好きなんですか?」


「外見も中身も全部大好きだよ」



こうやってサラッと言ってしまうのがまた罪深いんだろう。
私だけなんか負けている気分。



「勝負しましょう先輩!」


「ふはっ、急に燃えてるじゃん。いいよ何する?」


「先に相手のハートカードを手に入れたほうが勝ちで行きましょう」


「……それ、俺に付き合ってほしいって遠回りに言ってくれてるんだよね?ねぇ、今キスしていい?」



先輩に詰め寄られて、今はダメです!と押し返す。
残念と笑いながら離れる先輩に、赤くなった顔を隠しつつ「負けたほうが一個相手の言うことを聞くで行きますよ」と伝える。



「そんなの俺本気でやるしかないじゃん」


「さっきまで本気じゃなかったってことですか?」


「乙葉から告白されるの結構好きなんだよね」



私だって先輩から告白されたい……なんて言えないけど。
さっきまで内緒でやろうとか考えてたのに勢いで言っちゃった。恥ずかしすぎる。