九条先輩の甘い溺愛

それから先輩は毎日裏庭に来るようになった。流石に無視し続ければ離れてくれるだろうと思いながら過ごしていたんだけど……。
……けど!



「もう、いつまで来るつもりですか!」


「君が俺と話してくれるまで?」



粘り強いにも程があるでしょ!先輩がこの裏庭来るようになってからもう2週間だよ⁉
むしろ私がよく耐えたと思う。流石に私の中の良心が限界になって思わず反応してしまった。



「話せば来なくなるんですか?」


「んー、保証はないね」


「はぁ……」



先輩の粘り勝ちということで話してみることにした。私と話すメリットなんてないんだけどな。



「いつもこの裏庭使ってるの?」


「あー、まぁはい。暇つぶしにもなりますし」



ずっと一人でやることがないからなんてそんな同情されかねないことは言いたくない。
普通に一人で過ごすのも悪くないと思ってるし。



「じゃあお昼とかもここで食べてる?」


「そうですね、雨の日以外はここです」


「じゃあここで俺も食べようかな。食べてもいい?」


「……ご自由にどうぞ」



先輩は私の感情が顔に出ていたのかそんな嫌がらなくてもと笑いながら言うと、次移動教室だからと校舎の方へ歩いていった。
本当は心のどこかで嬉しがっている自分の気持ちに気づかぬふりをして本のページを開いた。