九条先輩の甘い溺愛

【Side花音】


怒りは絶対に顔に出さない。
でもあのくそ男!私だってあんたと婚約なんてしたくないわよ!



「あっ、花音様お久しぶりです」


「……久しぶり。元気そうで私も嬉しいわ」



こうやって急に話しかけられたって笑顔は忘れない。
なのに、あいつ……心底どうでもいいみたいな顔で私を見るなんて。


両家の親どうしが決めた婚約に愛もなにもないわよ。それでいて、乙葉がいいですって?私の面子を潰す気なのかしら。
なんでもなんでも、乙葉乙葉乙葉って……うざったらしい。


お父様の期待に応えるための私の駒でしかないくせに。


乙葉は全部私から奪っていくのね。全部全部。



「花音、大丈夫?」


「……えぇ。大丈夫よ」





――あぁ……吐き気がする。