九条先輩の甘い溺愛

「ねぇ、聞いた?あの悪女の陰口言った2人が退学になったって」


「あれ、本当だったの?遂に学校に権力使うだなんて」


「しっー!聞かれてたら私たちも危ないわよ」



聞こえているんだけどな……。
私にそんな権力あるわけないよ……って言っても信じてくれないだろうけど。


一体誰がそんなこと……ってまさか。



「これ、あなたがやったの?」


「よくわかったね。大正解」



軽く拍手しながら、微笑むのは予想通りのこの男。



「渡瀬さんは何がしたいんですか」


「俺の力も、何もかも君のものだから。君のために俺の権力を使うことだって、害虫駆除だって何でもするよ」



私の手を握りそう微笑む彼に、心底狂ってる。そう思った。



「ただの許嫁にすることじゃないです。花音と接触したいなら、私と関わらないことを心から勧めますよ」



握られた手をはらいながら、そう伝えると考え込むような表情をみせた。
やっぱりみんな花音なんじゃない。


怒りを、感情を、顔に出してはいけない。
私は常に冷静に、うまく生きていくの。


花音が満足いくまで私が耐えれば、きっと……きっと。


――私の願いが叶うはず。