九条先輩の甘い溺愛

お店に入ると先輩はいろんな場所へ案内してくれた。
書店やカフェ、雑貨を売っているお店まで、他愛もない話をしながら過ごしてあっという間に時間は流れていった。



「ほら、荷物持つから」


「あっ、ありがとうございます」



1つ1つの行動に簡単にドキッとしてしまう私って本当に単純。
先輩に好きって気持ちを伝えたら、この関係はどうなってしまうんだろう。



「そうだ。これ、あげる」



先輩から手渡されたのは、小さなキーホルダーだった。
これ、もらっていいの……?



「俺も同じの買ったからさ、嫌じゃなかったら」


「全然嫌じゃないです!ありがとうございますっ!」



学校の時の私じゃなくて、私自身の思い出がどんどん増えていく。



「あと、さ……今度文化祭あるだろ?それ、一緒に過ごさないか?」


「え……」


「いや、嫌なら全然断ってくれていい……」



珍しく先輩が慌てているようなそぶりを見せて、目線を私から離した。


そんなに慌てなくても断らないのに……。たまに出る子供っぽさも、優しさも、全然部好きなんだから。



「もちろ……」


「乙葉……!」



え……?