九条先輩の甘い溺愛


「あら、私の妹を悪く言わないで?私の妹なんだから」



花音は軽く微笑んで周りをたしなめる。いや、たしなめる演技をしているんだと思う。
これで私は、姉をいじめても反省すらしない悪女。花音はいじめられても家族だからと許す優しい姉。姉が周りの取り巻きをたしなめるとみんながこちらを睨みながら、姉に賛同する。

これの繰り返し。いつの間にか、学園中で噂されるようになってしまった。姉が差し出す手を振り払ってまでいじめる最低な女だと。



「それにもうすぐ授業が始まるわ。行かないと。またね、乙葉」


「また、なんてふざけたことを言わないで。二度とあなたの顔なんて見たくないわ」


私は姉の引き立て役。これでいいの。
取り巻き達が嫌味を言いながら私の横を歩いていった。そのうちの一人が私に近づいて、足を出してきた。


危ない……!転ぶ!
ここで失態をさらせば笑いものになるだけなのに!


転ばないように耐えようとした瞬間誰かに抱き留められる感覚がした。
周りがざわついて、私はゆっくりと目を開けた。



「あ、朝の…」


「さっきぶりだね、大丈夫?」