九条先輩の甘い溺愛



誰かが喋ってる……?


ゆっくりと目を開くと見慣れない天井が見えた。



「起きたか、体調はどうだ?」


「まだ少しぼーっとしますけど、さっきよりは全然良いです」



私の返答に先輩は安心したのか、下を向いて息をつく。



「焦ったわ、本当に」



布団に顔をうずめる先輩の頭を思わず撫でる。
いつ見てもサラサラなんだよね……。



「っ……。なぁ、何かあったの?」


「え?」


「いや、なんか前よりさ……。あー、やっぱり無し忘れて」


照れたように首に手を当てる先輩に思わず笑みがこぼれる。



「先輩可愛いとこありますね」


「はぁ……?病人は変なこと言ってないで寝てろ」



ピンッとおでこを弾かれて、先輩は「また様子見に来るよ」とだけ言い残して保健室から出ていった。




「――勘違いするだろ馬鹿……。あー、顔あっつ。はず……」



先輩が部屋を出てすぐそんな事を言ってたなんて、私は知る由もない。