九条先輩の甘い溺愛

流石にテストは受けないとお父様にバレてしまうから、休み時間ぎりぎりまで裏庭で過ごして教室に向かうことにした。


「そろそろいかないと……」



もう周りからの視線は慣れっこだ。


教室までの廊下を歩いていると、出会いたくない人の姿が見えた。



「あれ、乙葉さんじゃない?」


「本当だー!平凡で不出来な花音をいじめるあの乙葉さんじゃない」


「花音の前にわざわざ現れて、またいじめようってんじゃないの?」


「さいってい!花音!私たちが守ってあげるからね」



私の姉とその取り巻き達だ。もうすぐ授業も始まるし、教室も目の前なのに。
何を言っても私が悪くされるんだろうし、ここは無視して通り過ぎよう。