九条先輩の甘い溺愛

「心配したんだぞ、俺が話しかけても逃げるし。いくら探しても見つからないから何かあったんじゃないかって」


「すみません、色々ありまして……」


「色々って何?ここに閉じ込められてる時点で想像はつくけどしっかり話してもらうからな」



先輩に問い詰められて、花音の取り巻き達に呼び出されて閉じ込められたことなどを話した。
話を聞き終えると輩はいらいらしたよう表情でどこかに電話をかけた。



「もう暗いし、寮部屋まで送るから。行くよ?」



手を差し出されて立ち上がろうと足に力を入れる。
忘れていた痛みが戻ってきて思わず顔をしかめる。



「すみません、先輩。足を捻ってしまったので先に行っててください」


「はぁ……。先に行くわけないだろ?」



先輩は私の背中と膝裏に手を回すと一気に持ち上げた。
私が驚いている間に歩きだしてしまい、降りようにも降りられない。



「先輩……っ!一人で歩きますから!」


「足捻ってるのに?これ以上怪我が酷くなったらどうするの?」


「でも……」


「俺が怪我人を見捨てたやつって思われるかもよ?」


「それはだめです……」


「じゃあ良いよね?行くよお嬢様」



恥ずかしさと申し訳なさで消えてしまいたい……。
そんな私が面白いのか、先輩は軽く笑いながら私の部屋まで運んでくれた。