九条先輩の甘い溺愛

それから数時間誰も来ることなく、私は床に座り込んでいた。
私を心配する人なんていないってことよね。まぁ、当たり前か。



「日が……」



日が沈んできて部屋が一段と暗くなる。
私は正直暗い場所が苦手。昔お父様に怒られて、日の光すら入らない真っ暗な部屋に閉じ込められたのがきっかけなんだけど……。


そんなことを考えているうちに日が完全に沈んでしまい、視界が暗闇に包まれる。
恐怖感から、痛めた足を引きずって思わず扉を叩く。



「誰か……誰かいませんか」



誰も気づくわけがない。そんな思いから思ったように声が出ない。
あぁ……本当についてない。


諦めて座り込んだとき足音が聞こえた。
誰か……来た?



「花宮……!いるか!?いたら返事してくれ!」


「なんで先輩が……」


「そこにいるんだな!?今開けるからちょっと待ってろ!」



先輩に扉から離れろと言われ、少し離れたところに座ると扉を蹴り飛ばして先輩が入ってきた。
そんな開け方しなくても待つのに脳筋にでもなったんですか!?



「大丈夫か?怪我は?誰がこんなことしたんだ?」


「あ、あの……先輩ちょっと質問が多いです……」


「あ……ごめんな。ちょっと焦りすぎた」



私の頭を撫でながらゆっくりと息をつく。