九条先輩の甘い溺愛

花音をぶってしまった件は一瞬で広まって、私に近づく人は本当にいなくなった。
あれ以来先輩と絶対に会わないように細心の注意を払って生活をしている。


もう誰とも関わらないって決めたんだから。


花音に手を出した確実な証拠を作ってしまった私は、今まで中立の立場でいた人たちでさえも敵に回してしまった。
本当はこんな学校辞めたいけど……。お父様が許してくれるはずもない。


裏庭はもう行けなくなるから、新しい場所探さないとなぁ……。
ぶらぶらと歩き回っていると、屋上に繋がる階段が目に入った。



「ここならだれも来ないかも……?」



2棟の屋上は教室から遠いというのもあって、誰も立ち入らないし。
活気がない地味な場所。私にぴったり。


階段を上ろうとした時、背後から肩をぽんと叩かれた。振り向くと、2年生の女子生徒がにこやかに笑っていた。
私に何の用だろう?話したことは無いと思うけど……。



「花宮さん?だよね。先生が呼んでたよ、体育倉庫の辺りまで来てほしいって」


「……わかりました。ありがとうございます」



荷物の整理とかやらされるんだろうな……。せっかく屋上に行こうとしたのに、タイミングが悪い。