九条先輩の甘い溺愛


「花宮大丈夫そう?」


「えっ?あ、はい。大丈夫です」


いつの間にかかなり離れた場所についていて、先輩が心配そうに私を見ていた。
見たことのない場所だけど……。


「きれいな場所ですね」


「だろ?ここ結構穴場スポットなんだ」


女子寮と男子寮を仕切る大きな噴水広場から少し離れた場所で、きれいに咲いた花々が風で揺れていた。
こんな場所があったなんて。


「じゃあここでデッサンしようか」


「え、本当にやるんですか?」


「もちろん。描かないよりいいだろ。さ、隣座って」


芝生に座る先輩につられる様に腰を下ろす。
ほどんど裏庭にいる私にとってはすごく新鮮で気持ちがいい。


「花ばっかり見てないで俺の方向いて?」


「へっ?え……あの、その」


「デッサン描くんだから、こっち向いてもらわないと」


「あ……。そうですよね!すみません」


変に勘違いした私が恥ずかしい。
胸がきゅっとなった感覚がしたけど、きっと走ったからだよね。運動不足かもしれない……。