九条先輩の甘い溺愛



「はーい、皆さん。授業始めます」



先生の一声で号令がかかり、授業が始まる。
たまに視線を感じるけど、気にしないことが一番。外での授業ならどっか離れておけばいいし。



「今日はデッサンをします。道具を忘れた人は今教えてください」


「あの……先生」



声がした方を振り向くと、花音が今にも泣きそうな表情で立っていた。
嫌な予感がする……。



「昨日確認したんですけど、先ほど見てみたら道具がなくなっていて……」


「まぁ!なんてこと。誰か花音さんの道具知りません?」



クラスメイト全員が一斉に自分の道具を確認する。まさかと思いつつも、周りにばれないように道具を確認した。



「なんで私の……」



私の道具入れには花音の道具一式が入っていた。これもまさか嵌められた……?
全てが仕組まれていると気づいた時には、クラスメイトが私に指をさしていた。



「どうせまたお前が盗んだんだろ!」


「そうよ!花音をいじめるのはあんたくらいだもの!」



あっという間に私のバッグが奪われて、中身を取り出される。
花音の名前が見えて、一気にその場が静まる。



「……やっぱり。先生!乙葉さんが花音の道具を持ってました!」


「……私じゃないわ」


「じゃあなんで花音の道具持ってんだよ!」


「花音が自分で入れたんじゃないかしら」


「花音がそんな事するわけないじゃない!」