九条先輩の甘い溺愛

毎日飽きないように気を使ってくれているのか、いろんなおかずを作ってくれているみたい。
でも卵焼きだけは毎回お弁当に入ってるんだよね。



「卵焼き好きだろ?」



私の考えていることを読んだかのようなタイミングでそう聞いてきた。
好き嫌いなんてあったら叱られるし、なんでも食べれるようにしてきたからよくわからないけど…。



「多分……?」


「あはは!多分ってなんだよ」



私の曖昧な返答がなぜか面白く感じたのかしばらく笑い続けていた。
とことん変な人だよね。



「はーっ、面白かった。一ヶ月分くらい一気に笑ったかも」


「じゃあ今月はもう笑えないですね」


「それは困る。君といるときに笑えないなんて、男としてのメンツが立たない」


「何変なこと言ってるんですか」


「君は俺に真顔でいてほしいのか?」



なんで私に聞くのよ。
無視して卵焼きを口に入れると先輩がにこにこしながら私を見ていた。



「そんなに見ないでもらっていいですか。気が散ります」


「かわいいなと思ってさ」


「ただでさえ変な人なのに発言までおかしい人にならないでください」



本当のことを言っただけだよと言って微笑むと、私の頭を軽くなでた。
急に何するのこの人……!顔に熱が集まるのを気づかないフリをして先輩のいない反対側を向いた。



「花宮、こっち向いて?」


「嫌です」


「ふはっ、そこをどーにか」



数分程この攻防が続いたのは言うまでもない。