シャドウ4C


そこからの1週間は、わたしにとって不思議な1週間だった。

会社に出社すれば、会社の若い子たちが「カゲの新曲聴いた?!」「聴いた!あの歌ってる人、誰なんだろう?!」と騒いでいて、テレビやLINEニュースでも話題になり、「あの美声の持ち主は誰なのか?」と取り上げられていた。

しかし、わたしは「わたしです!」と手を上げて主張したいところをグッと我慢し、沈黙を貫いた。

そして、千景と"涙"さんと会う約束をした土曜日。

わたしは千景に迎えに来て貰ったのだが、お酒を飲むつもりなのかタクシーだった。

「わぁ、どうしよう、、、ドキドキする、、、。」
「居酒屋なんて久しぶりだなぁ。」
「ねぇ、ちょっと、わたしの話し聞いてる?」
「あ?大丈夫だって。そんな緊張するような奴じゃないから。」

タクシーの中でそう話しながら着いた居酒屋は"つぼ◯"。

"つぼ◯"なんて、久しぶりに来たなぁ。

お店に入ると、「いらっしゃいませー!」と出迎えてくれた店員さんに千景は「時和で予約してるんですけど。」と言った。

「はい、お待ちしておりました。先にお二人様いらっしゃってますよ!」

そう言う店員さん。

"お二人様"?

あれ?"涙"って2人組なの?

そう思いながら、千景とわたしは2階の個室に案内された。