シャドウ4C


パソコンに映し出され、流れ始めたあの時の曲。

調整するとは言っていたけど、音楽のことに詳しくないわたしでも、確かに調整したんだな、と分かる程にピアノの音やギター、ベースの音などが鮮明に生まれ変わったように変わっていた。

そして、画面に映し出された千景が描いたのであろう女性。

ショートボブにフワッとしたパーマをかけた髪型、口元にホクロ。
それを見て、これわたしを描いてくれたの?と思った。

その女性は歌詞通りに最初は悲しげな表情の中、色んな人が同じ方向を歩いて行く中、一人逆の方向を見て佇んでいて、涙も枯れた瞳の奥では泣き叫んでいた。

そこから、ニコ丸の顔をした人物が現れ、女性に手を差し伸べる。

女性の心の中で花開き、空に向かって両手を広げ仰いでいた。

わたしはそのMVを最初から最後まで、一言も発することなく見入っていた。

MVが終わり、画面が暗くなると、また最初の画面に戻り、わたしは感動で言葉が出なかった。

「どうだった?」

千景がわたしに訊く。

わたしは「なんか、、、感動しちゃって、言葉が見つからない。」と答えた。

「あのMVに出てくる女性は、希沙をイメージして描いた。」
「やっぱり?!髪型も口元のホクロも同じだから、まさかなぁとは思ったんだけど。」
「ちょっと美人に描きすぎたけどな。」

そう意地悪を言う千景に、わたしは睨み付けて千景の腕を叩く。

千景は「でも、希沙のおかげで良いものが出来た。ありがとう。」と言い、いつも意地悪なことばかり言う人とは思えない程、優しく微笑んだ。

その微笑みにドキッとしてしまうわたし。
たまに見せるその微笑み、ズルい。

わたしは照れながらも、ずっと"ただ好きだった"だけの歌が形になり、喜びで胸がいっぱいになり、「こちらこそ、ありがとう。」と言ったのだった。