それから、わたしは自宅に帰宅してから、夢から現実に戻ってきた感覚に陥っていた。
湯船に浸かりながらあの曲を思い出し、口ずさむ。
歌える。覚えてる。
夢じゃないよね?
寝る時になり、寝室に移動すると、わたしは千景からもらったタオルを広げてみた。
落選して貰えなかった"シャドウ4C"のタオルが、今ここにある。
信じられない、、、
普段、好きで聴いていた曲を作っている人に出会い、「歌声に惚れた」と言われ、新曲を歌わせてもらえた。
でも、カゲがあんな感じ悪い人だとは思わなかったなぁ。
あんなに良い曲を作詞作曲してる人なのに。
わたしはそう思いながら、タオルを寝室の壁に飾り、しばらく眺めてから就寝した。
あの日から、本当にあれは現実だったのか?と思っては、歌を思い出し、貰ったタオルを見ては、"夢じゃない"と繰り返し思う日々。
そして、丁度1週間後の土曜日。
千景からLINEがきた。
{ MVが完成した。見に来るか?)
わたしは「行く!」と返信をし、千景に迎えに来てもらうと、再び真っ暗な千景の自宅にお邪魔することになった。



