シャドウ4C


わたしはヘッドホンを外すと、恐る恐る千景の方を見た。

千景はパソコン前の椅子に足を組んで座り、片方の口角を上げ「やるじゃん。」と言ってくれた。

「え、大丈夫だった?」
「おっけ。あとは、もう少し調整して、MV作ったら投稿していい?」
「えっ?!これ、今の投稿するの?!」
「うん、そのつもりで録ったんだけど。まさか一発オッケーになるとは思ってなかったけどな。」

そう言って微笑む千景。

あ、笑うとかっこいいかも、、、
って、わたしは何を考えてるんだ。

「え、えっ?わたしの歌ったやつが、カゲのアカウントで動画あがるってこと?」
「うん、そゆこと。」
「わたしの歌声なんかでいいの?!」
「希沙の歌声に惚れたって言っただろ?俺の耳は間違えてなかった。」

信じられない、、、

普段聴いていた曲を作ってる人の新曲を歌わせてもらえて、それが投稿されるなんて、、、

「MVって、どうしてるの?誰かに頼んでるの?」
「いや、自分で描いて、それをMVにしてる。」
「え!マジ?!あの画力凄っ、、、!」
「多分1週間後くらいには、投稿出来ると思う。あ、一応LINE教えて。」

そう言われ、わたしは千景とLINE交換をした。

「動画投稿する時は、事前に希沙には連絡するから。」
「うん、分かった。何かドキドキするなぁ、、、。」

そして帰り際、千景はわたしに抽選で落選してもらえなかった、あの"シャドウ4C"のタオルをプレゼントしてくれた。

「え!貰っていいの?!千景、性格悪いと思ってたけど、良い人だね!」
「はぁ?タオル返せよ。」
「やだ!一度貰った物は返せません!」

そう言って、わたしはタオルを抱きしめ、千景に車で家まで送ってもらい、帰宅したのだった。