ピアノの音で切なげに始まり、ポップにテンポ良くなってゆくイントロ。
そして、Aメロが始まる手前でわたしは息を吸った。
♫
ねぇ 例えば今わたしがここで叫んだのなら
誰かが枯れた涙も映らぬ瞳に振り向くか
ねぇ 例えば今わたしがこの声を奏でたら
誰も知らぬ石ころに耳を傾けるのだろうか
空っぽの心をわざと転がし 音をたてる
気付いて 気付いて 誰かわたしを見つけて
遅咲きでも 蕾は開く
ただみんな開くタイミングが違うだけ
この声ひとつ 心ふたつで 空へと舞い上がれ
春風吹く 頬を撫でるように
ただ自分を信じて君と進むだけ
大丈夫 光通し輝き放って魅せるから 今
ほら ただの石ころに傷がついたのなら
そこから溢れた雫に光が当たるから
ほら ただの石ころじゃないところを
誰もが振り向くようにしてクラリティ
空っぽだった心に 音色を詰め込んで
前を向け 前へ進め 君を包む闇を払って
満開なんかじゃなくたっていい
ただ一人に響けば誰かが救われるから
この花開く 心の中で 君のそばで咲き誇れ
完璧なんかじゃなくたっていい
ただ君らしく未来を見据えるだけ
大丈夫 手に触れて 君は一人じゃないから
春風吹く 頬を撫でるように
ただ自分を信じて君と進むだけ
大丈夫 光透し輝き放って魅せるから
きっと 君が放った花びらが寄り添うから 今
♫
エンディングになり、曲が静かに終わると、わたしは我に返り、今歌っていたのが別人だったかのような感覚に陥り、急に恥ずかしくなった。



