──貴方に伝えたかった、たった一言。

「茜里。今日って暇?」

そう訊かれて、星の方に顔を向けると、少し気恥ずかしそうに言っていた。

「暇…だけど、どうしたの?」

そう言うと、星は自分の頬をかしかしと掻いて、しばらく経ってこう言った。

「茜里の雨が晴れたお祝いに……どっか行かない?」

これって……デート……?

そんな言葉が過ってきてすぐに頭から振り払った。

「いいじゃん!行こうよ!」

私なりに元気に言って、そのまま二人で歩いて行った。

         ♢

私たちは近くの大きなショッピングモールにやって来た。

欲しい物はほとんどここに行けばあるってくらい大きな建物だ。

「ここで何するの?」と首を傾げて星に訊く。

星は少し微笑んで「ちょっと買い物」と言って歩き出した。

どこに行くんだろう……。

そう思いながら星の隣まで少し走った。