──貴方に伝えたかった、たった一言。

そして私は、真希のお母さんに会って、塾の場所と真希が行く時間帯を教えてもらい、塾の先生にも事情を話して、少しだけ時間をもらった。

私は塾の前で真希をじっと待った。

一応星にも連絡はしといたけど、練習があって行けるかどうか分からないらしい。

まぁ、私の問題だから星がいてもあまり変わらないだろうけど、一応。

私はふとポケットの携帯を取り出して、時間を確認した。

おかしい……。

もう来る時間帯のはずなのに……。

不安と緊張感が一気にのしかかってきた。

真希……大丈夫かな……。

         ♢

しばらく待っても真希は来なかった。

暖かい格好をして来たと言うのに凄く寒い。

塾よりほんの少し離れた自販機で暖かい飲み物を買うことにした。

「はぁ……寒い……」

私がお金を自販機に入れた。

「ねぇ?どこ向いてんの?」

自販機のボタンを押す前に、そんな声が聞こえてきた。

「まーた塾行ってんだ。もっと頭良くなって私たちを見下そうっての?」

そこの曲がり角の先で誰かがいじめられてる……。

女子数人が誰かをいじめてるのだろうか。

私は壁にもたれて、その会話を盗み聞きした。

「で?そいつとは縁切ったの?」

’’そいつ’’?誰のことだろう……。

今すぐ行けない自分が情けない。