──貴方に伝えたかった、たった一言。

「俺さ!雨好きなんだ!」と振り向いて私を見ながら言った。

うるさい雨の音と荒い波の音の中、星の声が不思議にもはっきり聞こえた。

「雨ってさ!濡れて気持ち悪いし、いい気分にならないけどさ!」

こんな暗闇の世界で、星だけが、星の笑顔が輝いていた。

「雨って、ずっと続くと太陽が出てこないんじゃないかって思うけど、雨は絶対に明けるんだ!」

なんで……なんでそんなにキラキラ輝いていられるの……?

雨で傾いてしまった傘をもう一度立て直して、もう一度星と目を合わせた。

「だから!この雨も茜里の雨も……きっと止むよ!」

私は思わず立ち上がった。

溢れる涙を拭わず、ずっと星を見つめた。

そして星にゆっくりと近寄った。

「いや…違うな……」と星は呟いた。

「雨は……茜里の雨は……」