──貴方に伝えたかった、たった一言。

「…あ……茜里が……いてくれたから、ここまで頑張れたんだよ……」

あ…と小さく呟いてしまった。

茜里って言ってくれた……。

天野くんは恥ずかしそうにそっぽ向いて夕日を見つめる。

男子から下の名前で呼ばれた事なんて一度もない。

初めて言ってくれたのが、私の好きな人だった。

「私も…」と言いかけると天野くんと真希は私を同時に見つめた。

私は少し遠くに走って、後ろを振り向いて両手を口にあてて私はこう言った。

「私も!真希と星がいてくれてよかった!」

「星」と下の名前で言った時、心臓が早鐘を鳴らして、太陽みたいに体が熱くなっていたのが自分でもわかった。

二人とも驚いた表情をして私を見つめた。

しばらくして二人はゆっくり歩きながらこっちに歩いて来た。