──貴方に伝えたかった、たった一言。

スタートのサイレンがなった瞬間。

私はこう叫んだ。

「頑張れーーー!!!」

サイレンで声がかき消されているかもしれない。

でもそれでいい。

届かなくたって……。

聞こえなくたって……。

天野くんはきっと大丈夫。

天野くんは本当に膝を怪我しているのかわからなくなるくらいに、思いっきりな走りとドリブルをしながら、仲間とパス回しをしながら相手のゴールに流れ込む。

その姿は、とても楽しそうで、かっこ良くて、真剣で、生き生きとしていた。

やっぱり好きだ──

彼の姿を見て、改めてそう思った。

そして天野くんは……。

味方のパスを受け取り……。

ゴールにボールを綺麗なシュートで入れた。