──貴方に伝えたかった、たった一言。

「さ…そろそろ九時だ」

スマホの電源をおとして、ぞろぞろと入って来るみんなを見た。

頑張れ…みんな…。

「お願いしまーす!!」

真希たちの大きな声と相手の声が体育館に響き渡った。

ジャンプボールを真希がやる───

え?真希?!

まずい…心配でしかない…。

真希と相手の子が同時に飛ぶ。

静かだった観客席が盛り上がり出す。

「真希ーーー!!!頑張れーーー!!!」

私は両手を口元にあてて、応援下。

頑張って…真希。

コートのど真ん中の空中で交わる手と手。

響き渡る人達の声。

窓から差しかかる太陽の光。

私も何か…。

自分に誇れるような何かをもってみたい。

そしてボールは真希の手に触れていた。