──貴方に伝えたかった、たった一言。

「今日のところは引いてくれませんか？」と真希は笑みを浮かべて言った。

「な…なんでだよ…」と眉をぴくぴくさせながら言った。

「天野くんが勝ったから」と真希は言った。

うちだは悔しそうに唇を噛み、バックをもってコートから出て行こうとした。

「今度は!」と真希が両手を口に当てて言った。

その一言にゆっくりとうちだは振り返った。

「今度は一緒に！仲良くバスケしましょう!」

そう言って真希は満面の笑みを浮かべて言った。

うちだは驚いたような顔をして、そっぽ向いて帰って行った。

「真希～なんでそんなこと行ったの～？真希にも暴言言って来たのに」とうちだが帰って行った方を指で何度も指しながら訊ねた。

「だって…うちだくんバスケ上手かったし、一緒にやったらもっと楽しくなると思って…」

真希は本当に優しい。私なんかより……ってだめだめ！ネガティブ思考になったらだめなんだった！

もっと自分の事を自己評価を高くしなきゃ！

「樋目野。水野さん」と天野くんが呟いた。

私は何も言わずに天野くんを見つめた。