──貴方に伝えたかった、たった一言。

「内田。お前は本当に変わらないな」

天野くんが冷たい声で言った。

「は?」

次の瞬間。天野くんは高く飛んだ。

そして、スリーポイントのところから、内田がいるにも関わらず……。

ボールを放った。

「俺は…奇跡を信じるって決めたんだ」

ボールが綺麗な放物線を描きながら飛んでく。

それは…流れ星が降って来たかのような、雪が降って来たような…。

速いような遅いような、私にもわからないほど、綺麗な放物線だった。

そして……ボールは……。

リングの金属音もせず、ネットの清々しい音だけが辺りに響いた。

         ♢

「勝った…?」

一瞬の出来事すぎて、勝ったかどうかわからなくなってしまった。

でも勝ったんだ。紛れもなく天野くんの勝ちなんだ。