──貴方に伝えたかった、たった一言。

「い…今、手と手が…」

拳と拳…手を繋いだわけじゃないけど、手と手が…

考えるたげで頭が真っ赤になってきた。

「茜里。始まるよ」と真希が真剣な顔で言った。

そうだ。浮かれている場合ではない。

天野くん…頑張って…。

私は心の底から祈った。

         ♢

「よ…よ~いスタート!」

真希のかけ声と同時に二人は動き出した。

真剣な顔をしている天野くんと、あざ笑うような顔をしながらプレイしているうちだの、二人の世界になっていた。

天野くんが好きな抜く方法は、右に行くと見せかけて左に行くという事を一瞬でする技。

天野くんにお願いして今までの試合映像を見せてもらったけど、『色々技を相手に見せた後に単純なフェイントで抜く』という斬新で、まさに裏の裏をつく、みたいなやり方だ。