──貴方に伝えたかった、たった一言。

私は自然とかがみ込み、天野くんをじっと見つめた。

「これは?」と思わず訊いた。

天野くんが取り出した物は……。

「望遠鏡」と短く天野くんは答えてくれた。

にやにやしながら望遠鏡を設置して、「よし」と一言言って立ち上がった。

「ベガとアルタイル見よ」と天野くんは言いながら星を指さした。

「べが?あるたいる?」

星の名前なんだろうけど、私は星に関してさっぱり分からない。

「あれだよ、あれ」

天野くんは両手で左右の別の星を指さす。

目を細めてじっと星を見つめるが分からない。

「星…あり過ぎてわかんないよ~」

「えぇ~…」

天野くんは困った表情で私を見た。

「じゃあこっち来て」と私を手招きした。