──貴方に伝えたかった、たった一言。

「いいよ。そのくらい大丈夫だよ」

天野くんは相変わらず綺麗な笑みを見せながら私に言った。

「じ…じゃあお言葉に甘えて…」

私はしぶしぶ天野くんに持たれながら海まで歩いた。

いつの間にか手まで繋いでいた。

柔らかい手に、大きな体。

天野くんと過ごせて幸せだった。

心臓の鼓動が止まらなかったが私は海辺までじっと我慢して歩いた。

         ♢

「ふぅ…海辺まで到着っと」

立ち止まって天野くんがそう言うと、リュックか何かわからない物をゆっくりと下ろした。

そして…。

「よし…じゃあ…目…開けていいよ」

天野くんが手を離して、小さく…私に聞こえる声で言った。

私はゆっくりと目を開けた。

次の瞬間。私は言葉を失った。